人間は太古の昔から物語に惹きつけられて来ました。焚き火を囲んで誰かが語る物語に皆で耳を傾けるという光景は有史以前からあったはずです。
このことは遺伝子に刻まれ、今でも人は物語に惹きつけられています。映画、漫画、アニメ、ゲーム、どんなエンターテイメントの世界にも「物語」は不可欠です。
では音だけで物語を作るということはどういうことなのでしょうか。
音だけで物語を作るという意味では、クラシック音楽は最も優れており、数百年の伝統と高価な楽器、それを習得するための何年もの訓練と費用、その才能の突出した者だけを集めて奏でられる音は最も豪勢で贅沢な音です。
そして現代では、音だけで人に物語を語るいろいろな方法があります。
まず、1番強いのはアニメの主題歌になる音楽。
その音楽が流れるだけで、ファンはそのアニメの強く感動的な物語を思い出すことが出来ます。「鬼滅の刃」や「推しの子」などは代表格と言えるでしょう。
強い物語を持つアニメはその音楽にも強い説得力を与えると言えます。
次にプロモーションビデオがある音楽。プロの映像制作チームが作るプロモーションビデオは音楽の持つ世界観を可視化させることが可能で、聴衆との共感を起こすのに多大な効果をもたらします。しかし、ヘタなプロモーションビデオは逆効果。全く関係ない場所(ヘリポートなど)で撮影とか。そんな映像があるくらいなら音だけの方がマシだという事もあります。
次に歌詞のある音楽。言うまでもなく歌詞はその音楽の世界観を表しており、優れた歌詞はヘタなプロモーションビデオよりも絶大な効果をもたらします。
そして歌詞のない音楽は、急激に不利になります。ましてアニメや映画とも関連せず、プロモーションビデオも無く、歌詞も無いとなると人は何処に物語を感じるのでしょうか。
まずはコード進行。そして音のフレーズ、メロディ。クラシック音楽はまさにこれであり、コード進行とフレーズだけで聴衆に共感と感動と贅沢感を起こすという神業がクラシック音楽には込められており、もはや現代で新作は期待できず、その頂点はベートーヴェンによって極められました。
さらにコード進行も無く、フレーズもメロディも無い音楽となると、これで聴衆と共感を得るのは至難の業であり、最も難しい挑戦であり、上に挙げた現象を鑑みても、まずもって多くの人に共感という現象を起こすのは不可能に思えます。
しかし!音だけで人の魂に触れる。この事に最も深く長く人類に貢献してきたのが打楽器です。打楽器はリズムの核であり、音楽の最重要要素こそはリズムです。優れたバンドには必ず優れたドラマーと優れたベーシストが居ます。パーカッション奏者がいればなお良いと思いますが、パーカッションを入れるバンドは少数です。
ドラマーやパーカッション奏者は音だけで物語を作る達人です。
音楽に強い説得力すらも与えられます。だからこそ兼ねてから打楽器奏者が何をやっているのか研究して、自分で実際に演奏することが、音楽のグルーヴを体験して再現する近道だと私は思うのです。
コード進行もないフレーズもない音楽はグルーヴで共感を生み出す以外に道はありません。実際に打楽器だけで人を惹きつける事は可能どころか、打楽器によって生み出される優れたグルーヴは最も古い遺伝子を直撃し、魂をとらえて離さないのです。日本人なら和太鼓がわかりやすい例ですね。


コメントをお書きください