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即興演奏とブルース

ペンタトニックとブルース進行のおさらい

以前お話しした「モード」や「ペンタトニック」の話が途中で止まっていたので、今日はそこから整理していきます。

ペンタトニックの基本

ペンタトニック・スケールは、ブルースやロックのセッションに欠かせないスケールです。ローリング・ストーンズのキース・リチャーズも、マディ・ウォーターズと一緒にセッションするとき、このスケールを中心に弾いていました。
シンプルながらも強力で、たったこれだけで「ブルースらしさ」が十分に出せるのです。

 

例えば Eマイナー・ペンタトニックの場合、次の音を使います。

  • ルート(E)

  • マイナー3度(G)

  • 4度(A)

  • 5度(B)

  • マイナー7度(D)

さらに「ブルーノート」と呼ばれる♭5(B♭)を加えると、ブルース・ペンタトニックになります。この一音が加わるだけで、一気に「ブルージー」な響きになるのです。

メジャーとマイナーのインターバル

鍵盤で確認すると、Cを基準にした場合、

  • メジャー3度は「E」

  • マイナー3度は「E♭」
    となり、半音の違いが大きなキャラクターの差を生み出します。
    慣れてくると「鍵盤の形」で直感的に分かるようになります。

ブルースのコード進行(12小節ブルース)

ブルースは典型的に「ワン・フォー・ファイブ・ワン」の進行を取ります。Eブルースなら次のようになります。

  • Ⅰ(ワン)=E7

  • Ⅳ(フォー)=A7

  • Ⅴ(ファイブ)=B7

この3つのコードだけで、12小節を1周させるのが「12小節ブルース」です。
とてもシンプルですが、これが世界中のブルースやロックの基本になっています。

音楽を旅にたとえると

コード進行を旅にたとえると分かりやすいかもしれません。

  • Ⅰ(E)は「自分の家」

  • Ⅳ(A)は「ちょっとした国内旅行」

  • Ⅴ(B)は「海外旅行のようにドラマチックな体験」

どんなに旅をしても、最後には必ず「家」に帰ってくる。ブルースの進行はそんなイメージでできています。

まとめ

つまり、Eブルースを弾くときには、Eマイナー・ペンタトニック(+ブルーノート)を覚えておくだけで十分に曲として成立します。
キース・リチャーズのように、限られた音だけでセッションを楽しみながらも、世界的に通用する音楽が作れるのです。

シンプルだからこそ奥深い──それがブルースであり、ペンタトニックの魅力なのです。